1Q84

みんなは 村上 春樹 が、好きだろうか?
読んだことあるだろうか。


自分は今まで避けて通ってきた。
けど、
まあ、最近売れているんだし
読んでみようか
と思って、1Q84を読んでみた。


結論から言うと、
読者に優しい、
とても読みやすい本だなあ、
と思った。


これなら万人に受けるのも納得できた。


描写はナルシスティックなところがあるし、
性的な描写も多いし、
それが嫌いだって言う人もいるかもしれない。


でも、特に直喩がすごくうまいなあ、
と思った。
すこし多すぎるくらいだ。


それから、構造が明確で明示的。
主人公の一人が小説を書いているせいもあるが、
メタ的な説明が、親切すぎる。
「これはきっと何々の象徴だろう」
みたいなせりふを登場人物が言ったりする。


それから、視点の使い方が絶妙。
それぞれの視点から物語が進んでいきながら、
いきなり神視点になったり。


虚構と現実が入り混じる感じがいい。


一番親切だなと思ったのは、
CM明けの番組みたいに、
前までの話を復習してくれる部分が非常に多いこと。
これは、たぶん細切れに読まれることを想定して、
書いてるんだろうな。


総評として、
読者のリテラシーの低さを想定しながらも
現代的な小説の技法が昇華した作品。
という感じ。


内容について。
1984は原書で読んだので、
このビッグブラザー的なのが、
どうテーマになってくるのかと期待して手に取った。
というか、このタイトルでなかったら読もうと思わなかっただろう。


リトルピープルがその逆なのはわかるとして、
それが、共産主義の恐怖に匹敵する何かを描いているのか?
そこが評価のポイントになると思う。


われわれはそんな世界にもう住んでいなくて、
ポストモダン的に、大きな物語の消失
見たいなことを言いたいのかなあ。


俺の世界に月は3っつあるぜ。
みたいに。


しかし、そんなことを
この2000年を過ぎて、もはや今更
30年前くらいのことを言ってどうなるのだ。
84年に神がいなくなったことを言いたいのか。



と、にわか読者が評論してもしょうがないですが、
とてもきれいな構造の話です。
構造は数学的に美しいといってもいいと思う。





1Q84 村上 春樹