順列都市

90年代最高のSFと謳われているが、
その通りだと思う。


人間をスキャンして、
コンピューターで<コピー>として走らせることができる未来。
世界の富を彼らが支配するようになって、
やがて市民権も与えられるか、というところまで来ている社会。
生と死の概念も代わり、人間は不死になる、
というのも面白いが、
もっと深い問いも投げかける。


データとしての<コピー>と生身の人間を区別するものは何か、
意味のあるデータの順列と、宇宙の原子その他の順列の違いは何か、
データの連続性にそもそも意味はあるのか、
確率論的に言って、時間的な連続の必然性はないのではないか、
などなど、
哲学的とも言える命題を扱ったとんでもない小説。


間違いなくマトリックスその他のたくさんの作品に影響を与えているであろうと思うし、
この小説のクリティカルな視点というのはものすごい切れ味だ。


下巻はまだ読んでいる途中だが、
更に面白い。

順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) [文庫]