コンクリートから子どもたちへ

民主党政権になって教育はどう変わろうとしているのか、
についての本。


文部科学省副大臣 鈴木寛と 元ミスター文部省 寺脇研の対論
鈴木寛のスタンスを示す「成長至上主義からの脱却」
寺脇研の「学習権の確立を」
の3部構成からなる。


あと付録に、民主党の「日本国教育基本法案」がつく。


「成長主義からの脱却」では、鈴木寛の人となりがよくわかった。
通産省から慶応助教授、民主党へ。
その経歴を読んでいるだけでも面白い。


この文章では続いて、ざっと以下のようなことが書かれている。
鳩山さんの「友愛」「新しい公共」という理念は、
コミュニティー・ソリューションというビジョンにつながる。
コミュニティー・ソリューションとは、
小さな政府か大きな政府かという2項対立を超え、
「低負担で高満足な社会サービス」を得るために、
市民コミュニティの力を積極的に活用しようという考えで、
イギリスの社会学者のギデンズなどによって主張された「第3の道」という路線の中心的な考え。
イギリス労働党のブレア政権が目指した。
民主党政権はリベラル・コミュニタリアンを目指している。
鈴木寛の2001年の選挙のスローガンは「コンクリートから人へ」で
物質主義から人的資本の充実へという意味が込められている。
「こども手当」はばらまきではなく、学習支援。
(これがどういう意味かは対談を読むとよくその意味がわかる。)


対論「民主党政権で教育はどう変わるのか」がメインの部。
まず鈴木寛ポストモダン等の思想を押さえていることがわかる。
デリダアーレントフーコー東浩紀と、のっけから横文字が多い。
右か左かという2項対立を脱構築したいという思いが強いのではないでしょうか。
イデオロギー対決には乗らない、と宣言します。


結構長いので、まとめるのが難しいですが、
教育から学習へ、つまり視点を学習者に持てということが強調されていたと思います。(生涯学習を寺脇さんは担当されていたこともあって、)
高校無償化もこども手当も、学習者への支援という軸があって、
一貫している。ということでしょう。


あとは当然のこと、健全なこと、正論がいろいろ論議される。
詳しくは読んでくださいw


まとめは寺脇研の「学習権の確立を」。
対論を通して見えてきた結論っぽいのがやっぱりこれなんでしょう。
学習権の確立。


で感想。
とにかく面白い。民主党に期待が持てるなという感じ。
すずかんのファンに一気になってしまった(ツイッターやってないのだろうか?)
全国の教師は必読ですね。


コンクリートから人、で思い出すのはヒューマンニューディールだ。
ヒューマンサービスで立国しなければいけないコンセンサスはすでにあると思う。


でやっぱ教育だ。こどもに金を使うのが一番早いのは昔から分かっている。


要はあとは熱意、志でしょう。


こうやって、アツく日本の未来、教育について語る、
政治の世界で頑張る、それが国民が望んでいること、なのでしょう。


少なくとも僕は大きく勇気づけられたし、希望が持てた。
選挙に行こうとも思ったし、自分の生徒と向き合おうと思った。





コンクリートから子どもたちへ [単行本(ソフトカバー)]
寺脇 研 (著), 鈴木 寛 (著)