リアルのゆくえ──おたく オタクはどう生きるか (講談社現代新書) [新書]

これはなかなかよかった。


結局平行線をたどる対談だけど、
今が近代かポストモダンか、という問題は、
(東は話してもしょうがないと言うが)、
二人に象徴されるように、帯にあるように、
関心がある。


動物化柳田国男が100年も前に指摘済みで、
近代のスパイラルで理解されるものであるのかもしれない気がした。
他方で、具体的に事象を語り情報を提供する立場もすごく共感できる。
行間の齟齬、シニフィエへの到達不可能性、
そういったものに絶望した後、
それでもあえてコミュニケーションにコミットしていくか、
情報インフラが支えるSR結合がただあるだけだと居直った先に建設的な希望を見出すか、
これが立ち位置の違いだろう。


自分の中にもこの対立はある気がする。
理想にコミットする一方、ただ動物のように結局生きているだけじゃないかと思う、
こんな感情は古いんだろうか新しいんだろうか、
そう考えることも意味がないんじゃないだろうか、
というマトリョーシカのような。


リアルのゆくえ──おたく オタクはどう生きるか (講談社現代新書) [新書]
東 浩紀 (著), 大塚 英志 (著)